国難をバネに世界に範を示す時/三重県商工会議所連合会 専務理事 井ノ口輔胖氏 (2012年9月)
三重県商工会議所連合会 専務理事
井ノ口 輔胖
国難をバネに世界に範を示す時

三重県で、1995年から8年にわたり庁内改革を推進した北川正恭知事時代に改革を下支えしました。知事が改革の方向性を示し、総務部長以下で政策を立て、私は課長の立場で主に現場がついてこられるよう導きました。痛みを伴う制度改革が成功したのは、トップが実現にあたってぎりぎりの可能性を見極め、決断とともに現場を巻き込む強いリーダーシップを発揮したからです。

こうした経験を2009年からマレーシアの初級・中間管理職の行政官に「自治体の行政改革(課題解決力)」と題してお話ししています。「遅れず、休まず、働かず」「地位保全には、何もしないこと」「たらいまわしの横行」─これらは組織が自己変革力を失うときに起こることです。研修員には、「本音の言える職場にしたい!」「変革への執念」「トップとのコミュニケーションの取り方」「あきらめない」「手間ヒマかける」「何度も毎回繰り返す」と改革・変革のポイントを伝えてきました。

研修員からは、「どうやって部下や上司の考えを変えるのか」「上司が結果しか評価してくれない。どうしたらいいか」「どうやって同僚の妬みに耐えたのか」等々の質問が投げかけられます。私は「相手を変えるにはまず自分が変わることが大切です。上司が評価してくれなくても他の上司や部下が見ているから、その上司が異動するまでくさらず努力を続けてほしい。自分でやると決めたことという強い信念があれば、同僚の非協力的な対応も気になりません」と自らの経験を具体的に交えてお話しています。

また研修では、日本の行政官の人材育成につなげられるよう三重県庁や津市役所のマネージャークラス職員とマレーシア行政官の意見交換会の時間を設けています。テーマは「行政組織におけるマネジメント・リーダーシップ・コミュニケーション」で、十分なコミュニケーションを図るため、少人数のグループに分かれ事例や課題に沿って意見交換します。日本の行政官にとってアジアの行政官と話をする機会は、グローバルな視野を身につけるきっかけになります。私自身、毎回「国が違っても、人間同士、皆同じである」と感じています。日本側の参加者に、この交流のチャンスを活かしてほしいと願っています。

日本は、国難の時ですが、今こそ決然として国を開き、世界に範を示すべきだと考えています。今後も日本や各国の人材育成のためにPREXと協力して活動を継続していきたいと考えています。