茶道を通して「日本の心」を伝える/PREXシニア専門家 池田 惇一郎 氏
PREXシニア専門家
池田 惇一郎
お手前を通して日本の文化に対する理解促進にご協力いただく。

研修参加者と池田専門家の茶室にて

私は企業人であったが若いころから趣味でお茶をやっており、現在は仕事のかたわら自宅で近所の奥様方、留学生、学生にお茶を教えている。お茶というのは、禅宗の影響を強く受けた宗教的な面、芸術的な面、哲学的な面、道徳的な面、社交的な面などいろんな面がある。日本の総合文化といっても言い過ぎではないと思っている。

PREXの仕事で、昨年の夏に日系ブラジル人と日系コロンビア人の方々が日本で企業経営についての研修を受ける研修があった。そのプログラムの中で、茶道を通して「日本の心」を伝えることができたのではないか、と感じる場面があったのでご紹介したい。

当日は、自宅にお越しいただき、まずお茶を一服差し上げた。「一碗からピースフルネスを」という言葉(千利休から数えて十五代の先代の裏千家の家元が提唱された言葉)がある。「たった一服のお茶碗だが、これをまわして飲むことによって戦争も起こらなくなるし、みんな平和な気分になるんだよ、ピースフルな気分になるんだよ」いう言葉である。皆さんにも、まずお茶を一服差し上げて、ホッとしていただき、それからお菓子のいただき方、礼の仕方など基本的な茶道の礼儀、挨拶の仕方、お辞儀の仕方などを少し学んでいただいた。そのあと、実際に茶筅を取り上げて振り、お茶を点てて頂き、相手の方に差し上げるという、よくいう「おもてなしの心」というものを体験していただいた。あわせて、お茶の歴史、お出ししたお道具の美しさと、その芸術性、日本の文化の伝承といったようなことをお話した。若い研修生の方々は、ずっと正坐をし、膝の痛さをものともせず、お茶とお菓子を楽しそうに召し上がっていた。

後日、ひとりの研修生の方からとどいたお手紙に「茶道を通じて日本文化の一端を理解し、日系人として、自分の原点である日本の心に出会えた」という言葉があった。私はこういう形での国際交流というのも非常に重要だなということを再認識した。今後もこのような活動を続けたい。
(2009年1月26日「PREX外務大臣表彰受賞記念フォーラム」での発表から抜粋)