研修参加者に期待するのは「応用力」/流通科学大学 上田 義朗 氏
流通科学大学
上田 義朗教授
ベトナムの発展への熱い思いを持ってベトナム関連研修をご担当いただく。

ベトナムの経営者らに日本の企業の現状について講義される上田先生

10年前からPREXの研修の講師を務めている。最近はベトナムの経営者や中堅マネジャーなどを対象にした研修を担当している。そこで考えるのは、参加者に「応用力」をいかに修得してもらうかという問題だ。日本で学ぶことと自国の現実の間にはギャップがある。それを埋めるのは、研修参加者自身の「応用力」だと考えている。

研修に参加しているベトナム人がよく言うのは、「日本ではそうかもしれないが、ベトナムでは違う」とか、「言っていることは理解できるが、ベトナムには適用できない」というようなことだ。これでは、せっかく日本で研修をしたことが単なる「知識」で終わってしまう。「日本ではこんなふうにやっていたよ」で終わって「応用力」にまで到達しないという現状がある。「知識」の習得それ自体は悪いことではないが、それをどのように応用するかという段階にまで研修の水準を高めたいというのが、私や、PREXの職員の皆さんすべての願いだが、率直に言って、限られた時間の中で「応用力」を育成する工夫が非常に難しい。帰国後の事後研修などの必要性もあると思う。

さらに「知識」を適正に「応用」するための前提として、それぞれの企業には、一定の経営理念であるとか、道徳観または倫理観が必要であると思う。ベトナムの研修生が日本に来て一番感心するのは、「日本の経営者は中小企業であっても、みんな経営理念を持っているということ、経営に対する信念や考え方をちゃんと持っているということ」である。このことは、ベトナム人経営者自身がその点について不足を自覚しているからではないか。そうであるとすれば、市場経済における企業経営の理念を学ぶということが、日本での研修の1つのポイントだと考えている。
(2009年1月26日「PREX外務大臣表彰受賞記念フォーラム」での発表から抜粋)