バングラデシュで太陽光発電の導入を目指して(2013年1月)

ソーラーホームシステムを所有する家族にインタビュー。

3年間実施したJICA太陽光発電導入計画支援研修のフォローアップ事業としてバングラデシュの首都ダッカ市を含むダッカ・ディストリクトにて、バングラデシュの太陽光発電導入状況および計画の調査、特にソーラーホームシステム(SHS)に使用するバッテリーの回収・処理・リサイクル状況の確認を実施しました。帰国研修員が熱心に業務 に取り組む様子と同国の太陽光発電導入の状況を報告します。

PREXは、2009年度に「アジア地域太陽光発電導入のための基礎研修」、2010年度から2012年度までの3年間に「太陽光発電導入計画支援研修」(2回×3年間)をJICA関西(2011年度まではJICA大阪)から受託して実施してきました。2011年度はマラウイにて同研修のフォローアップ事業を実施しましたが、今回は1月25日~2月1日にバングラデシュにて実施しました。

同国は再生可能エネルギー政策2008で2015年までに電力需要の5%を、2020年までに電力需要の10%を再生可能エネルギーで賄うという目標を立てています。その目標を達成するために、電力エネルギー鉱物資源省を中心に積極的に再生可能エネルギーの導入を進めています。現時点で同国の太陽光発電の大きな割合を占めるのが、地方電化のためのソーラーホームシステム(SHS)です。SHSとはコンパクト蛍光灯数本、小さな白黒テレビ1台、携帯充電器1台など少量の電力を賄うために蓄電池つきの家屋に設置する小規模な太陽光発電システムを指しますが、同国においてSHSは180万台がすでに設置されています。グラミンシャクティやBRACなどのNGOがマイクロファイナンスを使ってSHSを普及させる活動を始め、現在ではインフラ開発公社(InfrastructureDevelopment Company Limited:IDCOL)の融資を中心としたSHS普及のメカニズムが整ってきています。

SHSには蓄電池が必須ですが、蓄電池の回収・処理・リサイクルのシステムには課題があり、同研修の講師陣であるJICA国際協力専門員、大阪市立大学教授、㈱浜田と共にダッカ市にて調査を行いました。各政府機関、IDCOL、NGO、ダッカディストリクト農村地域のSHSが設置されている家の住人、鉛インゴットをリサイクルしている蓄電池製造会社から話を伺ったところ、家屋に設置されている蓄電池の端子がむき出しであるため接触すると感電の恐れがあること、使用済み蓄電池の回収システムが十分機能していないこと、特に一次処理の段階で蓄電池・リサイクル業者の環境・安全管理が日本と比較するとかなり不十分なことが明らかになりました。蓄電池の回収と解体(一次処理)はインフォーマルセクターが担っているということで現場を視察することがどうしても不可能であり、関係者の話のみになりますが、労働者の安全性と環境に配慮した処理は行われていない可能性がかなり高いということがわかりました。蓄電池の回収と適切な処理・リサイクルは同国のみならず、多数の途上国でも課題です。今回のフォローアップ事業で得た情報を基に、帰国研修員へ提言をフィードバックすると共に、今後のJICA研修事業でも活かすことができるよう報告書にまとめる予定です。

バングラデシュの女性の未来を垣間見る

バングラデシュのアーサン・モンジールで
女子中学生に囲まれる筆者(左から4番目)。

各調査スケジュールをこなす合間に1箇所だけでも歴史的遺産視察を!ということで、隙間時間を使ってアーサン・モンジールに行ってきました。通称ピンクパレスと呼ばれるこの建物はフランスの施設として建築されましたが、当時のダッカ領主ナワブ家の邸宅として独立まで使用されていたそうです。庭園に入るにも有料なのですが、ダッカ市民のデートスポット及び憩いの場になっているようでカップルや学生が至るところに。そうこうしていると、なぜか女子中学生十数名に取り囲まれ、いっしょに記念撮影。外国人と英語を話したかったのだろうと推測しますが、女子中学生のパワフルなこと。女性が首相である一方、女性の地位向上が課題によく挙がるバングラデシュですが、彼女たちの勢いにこの国の未来がきらきらして見えました。

参加企業の声

(株)浜田

ソリューション事業部

上田 俊秀

今回、バングラデシュにおける鉛バッテリーの使用状況及び廃棄方法、また再生処理についての可能性について調査を行いました。使用状況と再生処理について、電話基地局を調査したところ停電時に使用される非常用バッテリーは、ほぼメンテナンスされておらず、寿命年数を大幅に過ぎても交換されていないのが現状でした。
調査時の外観検査から判断しても停電した際に電力をバッテリーから供給できるとは思えないほど劣化していました。外観の劣化から想定すると再生処理を行っても能力は回復しないと予測されます。
バッテリーの廃棄については、処理会社は数社あり鉛の精錬方法は一定のレベル以上での処理が行われていました。廃バッテリーの一次解体処理現場は見ることが出来ませんでしたが、インフォーマルセクターに流れている可能性が高いとのことでした。
バッテリーの静脈フローにおいては一次解体処理が最も大きな環境汚染の原因なり得ると認識しました。
インフォーマルセクターが行う解体方法は、手作業による解体処理だと予測されます。
バッテリー解体時に発生する強酸などの有害物質は川などに捨てられている可能性がとても高いと思われ、環境への影響はとても大きいと推測されます。
今後、バングラデシュでは車用バッテリーだけではなく、SHS用バッテリー、携帯電話基地局用バッテリーなどバッテリーの使用量は大幅に増えると予測され、より一層バッテリーの適正処理が求められます。上記の問題を解決するには、回収、解体、一次溶解から二次精錬まで整合性の取れた仕組み作りが必要であると考えました。