パレスチナ自治政府ガザ地区 帰国研修員/ガザからの報告(2012年7月)
パレスチナ自治政府ガザ地区
自治政府エネルギー天然資源庁
ナジャール・オサマ
「2011年度太陽光発電導入研修」に参加

住民の約70%が難民として暮らすパレスチナ自治政府のガザ地区。昨年10月に「太陽光発電導入研修」で来日したナジャール・オサマさんもその一人でした。

 「(ガザ地区の)ジャバリエ難民キャンプで幼少時代を過ごしました。祖父の代に土地を追われ難民となり、行き場のないもどかしさを感じていたが、今は小さな家と家族をもってとても幸せ」と語ります。

大阪で約1カ月の研修を受け帰郷したオサマさんがまず初めに取り組んだのは「日本の制度をきちんと理解し、普及に努めること」。日本で学んだ制度や技術を纏めて所属するエネルギー天然資源庁に提出しました。ガザにおける電力需要は供給可能量を大きく上回っており、一日数時間の停電が頻繁に起こります。しかしながら、エネルギー供給のための計画は行き詰っています。オサマさんは再生可能エネルギー、特に太陽光による電力供給にこの地域の未来を見出しました。

パレスチナ自治政府には複雑な課題が数多く存在します。なかでもガザ地区は2007年以降約5年にわたりヨルダン川西岸地区を率いるファタハと分裂したハマスによる統治が続いています。

帰郷から半年、今、オサマさんはガザ地区における太陽光発電設備の導入に向けて様々な検討をしています。イスラエルによる制約等により外部とのアクセスが難しいガザ地区において、事業に必要な資機材を搬入するのは容易なことではありません。しかし、小規模なものから始められないかなど、いろいろな可能性を検討しています。

 「(政治的な分裂の影響を受けて)自分が仕事をしてもきちんと評価されないことや理解してもらえないことは多いです。しかし、自分が日本に行って学んだのはたくさんの技術や制度、そして『あきらめない』という気持ちでした。日本は資源がない国。ガザも同じ。でも日本は人の力で発展してきました。自分たちもいろいろな障害があるからといって前に進むことをあきらめてはいけないと思いました。日本での研修は自分の考え方や人生を変えました」。日本の技術とともにそのスピリットを持ち帰ったオサマさん。困難な状況下におかれるガザの人々に光を届けてほしいです。

なお、1985年以降ガザ地区から日本の研修に参加した人は400人を超えます。彼らが結成するJICA帰国研修員同窓会(JICA Alumni※「JICA AlumniAssociation Palestine」。彼らの対話の場でもあるホームページでは、帰国研修員の研修参加報告のほか、同窓会が中心となってガザ地区で行ったボランティア活動やセミナーなどを紹介するコーナーがあります。

独立行政法人国際協力機構(JICA)
中東・欧州部 中東第2課 加藤めぐみ