フィリピン・インドネシア・シンガポールの最新情報(2012年5月)

PREXシンガポール同窓会メンバー。シンガポールの国を支える企業家が集結し、新ビジネスについての話題や技術連携に向けた情報交換が行われました。

2月初旬、途上国の中では経済発展が進むフィリピン、インドネシア、そして先進国シンガポールの3カ国を対象とし、環境分野での人材育成研修のニーズ調査に加え、関西の中堅・中小企業とのビジネス交流の可能性を探るために、関係機関、現地カウンターパート、現地企業、帰国研修員をPREX事務局長と職員1名が訪問しました。
環境の専門家であり中小企業の海外進出のコンサルタントの有岡義洋氏に同行していただき、「日本企業の環境経営と環境対策」と題した公開セミナーの講師としてご協力をいただきました。
中小企業の海外進出のコンサルタント
有岡 義洋
アセアン3カ国にみる産業の「環境」取り組みの相違点と共通点
~「民主導、官主導、戦略主導」でも共通するチャレンジへの意欲~

環境経営セミナーの様子

フィリピン/企業経営者など70名以上が参加。

インドネシア/ビジネスレベルでの日本企業との交流、ビジネスマッチングを求める声が多く出ました。

2012年1月31日~2月11日の間、フィリピン・インドネシア・シンガポールの3カ国を訪問しました。省エネを中心に環境経営および環境ビジネスにおける各国の現状と課題をとらえ、日本として(PREXとして)今後どんな貢献が可能かを調査する訪問となりました。小職は、環境分野の専門家として、さらには中小企業診断士(中小企業向け経営支援の専門家)として、今回の訪問を通じて感じたことを以下に報告させていただきます。

環境への取り組み

まず、フィリピン。市場主導の産業政策が根付く同国では、エネルギー価格が非常に高いものの、政府は政策や補助金等で価格統制や民意形成を図るのではなく、民間の管理者養成や企業団体の先進取り組みを後押しする「民主導」の環境取り組みを進めています。

次に、インドネシア。こちらは政府が国家予算の3割近い補助金を投じて電力価格の低位安定を維持しています。また、積極的な外資導入政策で進出した製造業のサプライチェーン企業が環境取り組みの先陣を走る「官主導」の環境取り組みが進んでいました。

最後に、シンガポール。そこでは「工場団地」に集積する中小企業が環境ビジネスの担い手になっています。そして、日欧米企業のアセアン拠点としてメンテナンス・修理、販売を手掛けて独自の立ち位置を確立する「戦略主導」の取り組みが進んでいることがわかりました。

このように3カ国は非常に特徴的で対照的な産業の「環境取り組み」を進めています。一方で3カ国とも人々の関心は高く、新たな成長産業へのチャレンジ意欲に満ちていました。小職が行った公開セミナーにも多くの参加者が途切れない質問を投げかけてきました。

人材育成面でのニーズ

各国で口々に言われたのは、「中堅リーダー人材の育成が課題である」ということでした。日本人トップが率いる日系企業、日欧米でビジネス知識を学んだ高いスキルを有する現地リーダーが率いる地元企業、いずれも成長過程で問題となってくるのが、「現場と経営をつなぐ中堅リーダー人材の不足」です。

中堅リーダーに求められるのは、「ヒューマンスキル」です。人を引き付けるコミュニケーション能力や高い目標を掲げて周囲を引っ張る行動力といった人的な魅力が必要です。ちなみにビジネスリーダーが求められる3要素は上記以外に「コンセプチュアルスキル(概念的技能)」と「テクニカルスキル(専門的技能)」であり、経営者人材では前者が、現場人材では後者がより強く求められます。

各国の産業としての環境取り組みは一律ではありません。ただ、いずれもそれを主導するリーダー人材の存在は不可欠です。日本を含めた多様な事例を共有し、自国・自社に適した環境取り組みとビジネスチャンスを創造する研修プログラムは今後アセアン企業から強く望まれていることを確信しました。