中央アジアで帰国研修員の活躍を実感/JICA研修フォローアップ事業(2010年3月)

ウズベキスタンの帰国研修員所属企業「Arktika Bottlers」を訪問し、帰国後の活動や工場見学を実施しました。報告しているのは、同窓生のNargiz Kamalovaさん。

国際協力機構(JICA)の「中央アジア日本センターカウンターパート研修運営指導調査」の一員として、日本での研修で中心となり指導頂いている、大阪産業大学大津教授、クリエイション内海代表取締役とともにウズベキスタン、キルギス、カザフスタン3カ国を訪問しました。

PREXは、1996年度より中央アジアからの研修員受け入れを開始し、これまでの参加者数は277名に上ります。2002年度以降は、現地の日本センタービジネスコース修了者を「ビジネス実務研修」として受け入れ、また2006年度からは中央アジアの民間部門の発展を目的とした、「経済団体強化研修」を継続的に実施してきました。

今回の調査では、主に「ビジネス実務研修」および「経済団体強化研修」の帰国研修員を対象としたフォローアップセミナーを開催し、それぞれ内海講師と大津講師に指導頂きました。また、帰国研修員所属企業や経済団体を訪問し、活動の現状や研修ニーズに関するヒアリングを実施しました。

日本で学んだことが自信に

セミナーや訪問を通じて、帰国後の研修員の活動状況を詳しく知ることができました。

非常に印象的だったのは、「リスクを恐れず自信を持って前向きに仕事をできるようになったことが私の研修成果」という帰国研修員の言葉です。カイゼンや顧客サービス、人材育成など、日本で学んだ点を具体的に自社に導入し、それらが定着しつつあるという経営者も多くいました。実際に現地の生の声を聞くことによって、日本の企業経営者から大切なことを学び、しっかりとそれを実践していることを知り、たいへん嬉しく思いました。

一方で、中央アジアには、顧客ニーズや社員のモチベーションの大切さを理解している経営者はまだ少ないため、「日本センターや日本での研修を通じて、その重要性を実感し、経済を牽引できる経営者が今後増えることは、中央アジアにとっても大事である」とも言われました。

3カ国の経済状況の違いと経済団体の役割の重要性

ウズベキスタンは中央アジアでも独自の「漸進的」なアプローチを取っているため、ビジネス環境の自由度は他国に比較すると限定されます。キルギスは3カ国の中でも急速に市場経済化を推進し、経済団体活動も早くから活発に行われていました。カザフスタンは資源大国として急激に経済成長してきましたが、昨今の金融危機の影響も大きく、製造業・中小企業の育成を目指しています。

このように、経済団体を取り巻く環境は3カ国間でも異なりますが、目的を明確に持ち日本での研修に参加した帰国研修員は一様に、帰国後も国内の経済活動環境改善のために精力的に活動していました。(政府への提言活動による法案の成立、会員の声を届ける会議の開催、新たな業界団体の設立など)

日本と経済環境の異なる中央アジアの経済団体にとって、日本の経験がいかに役立つかという点は同コースを展開する上でも大きなテーマですが、市場経済下での経済活動の歴史が短い国々だからこそ、ビジネスの現場と政府との間をつなぐ経済団体の役割について、日本の様々な経済団体の経験から学ぶことが、今後更に重要になるものと思われます。

つなぐことの大切さ

カザフスタンの経済団体「Atameken」を訪問。(中央が大津教授。右から2人目が同窓生のSvetlana Kirillovnaさん)

現地を訪問してみて、帰国研修員の皆さんの活躍はPREX事業の大きな成果であると改めて実感しましたが、それらを把握するには帰国後も関係をしっかりとつないでおくことが重要です。

PREXでは今回の訪問を機に、中央アジア3カ国の同窓会メンバーとPREXの、また同窓会メンバー間でのネットワークの再構築にも着手し、帰国後の活動の様子や、参加研修の枠を超えた情報交換の場づくりも目指していきたいと考えています。

様々な顔を持つ中央アジア

カザフスタンは旧ソ連の中でも第2位の面積を誇る国で、資源大国でもあります。訪問したアルマトィは旧首都であり経済の中心地でもあります。市内に向かう幹線道路の渋滞や、郊外に並ぶ新しいショッピングモールを見ると、石油価格の高騰を追い風に経済が急成長したことを実感しました。

ウズベキスタンの首都タシケントは中央アジアの中心的な都市であり関西空港からも直行便があり、シルクロードの遺跡を訪ねて日本からも多くの旅行者が訪問する国です。今回は春分のお祭り(ナウルーズ)を体験することができました。

キルギスは人口550万人と3カ国の中でも小さな山岳国です。PREXの同窓会は96名と最大で、現地では活躍している帰国研修員も多くいます。訪問直後に起きた政変では、多くの犠牲も出しましたが、現地からは無事を伝えるメッセージも届きました。早く落ち着いた元のキルギスに戻ることを願ってやみません。

事業概要

事業名
JICA研修フォローアップ事業
実施期間
2010.3.18(木)~31(水)
事業参加者
中央アジア3カ国の帰国研修員66名(ウズベキスタン27名、キルギス34名、カザフスタン5名)
実施内容
帰国研修員の帰国後の活動状況把握、講師によるセミナーおよび指導、現地企業・関係機関訪問など
委託元機関
独立行政法人国際協力機構(JICA)大阪国際センター
お世話になった方々、企業・団体(敬称略、訪問順)
大阪産業大学 大津定美教授、クリエイション 内海政嘉代表取締役、JICAウズベキスタン事務所、ウズベキスタン日本センター、JICAキルギス事務所、キルギス日本センター、欧州復興開発銀行ビシュケク事務所、カザフスタン日本センター、その他帰国研修員所属企業など