変わりゆく中国、変わりゆく人材育成/中国同窓会フォローアップ事業(2010年5月)

PREX重慶同窓会の関係者の皆さんと

PREXは、同窓会を対象としたフォローアップ事業及び現地ニーズの把握のためにニーズ調査を計画的に実施しています。

今年度は5月16日から24日にPREX職員2名と龍谷大学松岡教授が中国へ出張し、中国・重慶の同窓会を対象としたフォローアップセミナーを行いました。あわせて、重慶市、広西チワン族自治区及び北京でニーズ調査を実施しました。

フォローアップセミナーは、「中小企業金融支援」をテーマとし、重慶市科学技術委員会や生産力促進センター職員等40名が参加しました。

ニーズ調査では、重慶市、広西チワン族自治区の生産力促進センター、現地企業等及び北京の国家科学技術部等を訪問し、今後の研修ニーズの調査を行ないました。

重慶でのフォローアップセミナーの様

重慶関係者と今後の事業について協議中

南寧アセアン経済開発区視察の様子

重慶市・南寧市とPREXの交流の歴史

PREXと重慶市は1991年に国家科学技術委員会(現在の国家科学技術部)の要請で中小企業振興共同研究、社会開発共同研究を実施した後、訪日研修、現地研修、相互訪問などで交流を重ねました。2000年には重慶市にPREX同窓会が発足し、会員は現在90名となっています。

また広西チワン族自治区(広西省)南寧市とは、2002年以降現地の機関の要請を受けて研修を実施してきています。

各都市の変化と発展のスピード

各訪問先で痛感したのは、各都市の変化と発展のスピードです。「昔中国に行った時の印象」、「数年前の情報」は、仕事の面では役に立たないことを痛感しました。中国では人材を「人才」と書きます。才能のある有能な人物ということです。

中国には、それぞれの地域に文化があり、人の考え、行動様式、経済状況が違います。中国は、多様性に富む、変化の激しい国です。その中で、才能を発揮できる「才のある人、豊かな人材」を育てるために何ができるか?中国国内だけでも充分競争が激しく、切磋琢磨の状態は、想像を超えています。日本にしかできないこと、関西にあるPREXにしかできないことは何か?が問われていると感じました。日本に来て先進的な事例をみれば、何でも参考になるという時代は、中国にとっては過去のことかもしれません。

現在の中国は世界各国とつながりを持っています。連携先は日本以外にも多岐にわたり、今回聞いただけでも、デンマーク、オーストリア、ASEAN各国、色んな国と交流し貪欲に多様な文化とノウハウを吸収しています。今回の現地訪問を受けて実感した現地の多様性や変化と発展のスピードに対応するためにも、常に中国の「現在」の状況を把握し、人材育成へのニーズやその背景をしっかりと理解した上で、PREXとして協力すべきことは何かを見極めていく必要があると実感しています。

そして、われわれが世界に誇れるものを改めて掘り起こしていく必要があると強く感じました。

人材育成についての要望

PREXのメイン事業である人材育成について各訪問先で要望、意見をインタビューしてきました。

重慶では同窓会の会員から「より具体的な事業に結びつくような交流を」、「もっと定期的に、日中双方で視察をしたい」といった、具体的な活動を求める声を頂きました。

広西省では、機関の職員の能力向上に加え、ASEANとの経済協力にかける意気込みを強く感じました。広西省は中国の南に位置し、ベトナムやラオスなどASEAN各国と近い位置にあります。毎年、ASEAN各国、広西省、その他各国の企業と中国-ASEAN博覧会を実施したり、南寧-ASEAN経済開発区を設置したりしています。広西省のみだけではなく、中国各地で、アジアの中での多国間の協力、他国も交えた交流について新たなニーズをつかむことができました。

これらのニーズを受けて、PREXでは今後、同窓会との定期的な情報交換・交流の場の設置やアセアン諸国との経済交流分野での連携の可能性などについて検討を進めたいと考えています。

国際交流部 主任 関野 史湖

講師の声

12年間の重慶の変遷

龍谷大学 経済学部 教授

松岡 憲司

重慶は私にとっては中国で最初に訪れた町ということで、いろいろと思い出の多いところである。今回で重慶訪問は9回目である。

はじめて重慶を訪れたのは、1998年の9月であった。12年間にすっかり様変わりした重慶であるが、その一端をご紹介しよう。

1998年といえば、前年に直轄市に昇格した重慶市がまさに近代化を始めようとした頃になる。重慶は、改革開放以前より軍需を中心とした工業都市で、工業生産は活発であった。しかし盆地の中にいくつもの工場が立地しており、大気汚染はひどいものであった。12年前、重慶ではじめて迎えた朝、となりにある筈の建物がスモッグで見えなかった。その後鉄鋼工場を郊外に移転させるなどの対策もあって、最近ではずいぶん改善されてきた。今回の訪問でも、青空を見るという日はあまりなかったが、12年前に比べれば雲泥の差である。経済活動が数倍になっている中で、これは立派なことである。 

町並みもすっかり変わってしまった。今回は重慶市科学技術委員会(以下科技委)のビルに近いということで北部新区という地域に泊まった。この辺り、12年前の地図を見ると、道路もなにも無いところである。現在は高層ビルが建ち並ぶ近代的な街になっている。科技委のスタッフが連れて行ってくれたショッピングモールには世界のブランドショップが並んでいた。

人々の服装もすっかり変わった。以前は会議でもほとんどの人がポロシャツ姿であったのが、今回の会議ではスーツをばりっと着こなしておられた。その他、宴会での「カンペ」が減ったことなど、いろいろ書きたいこともあるが、字数も尽きたのでまたの機会にしよう。次の12年間にはどんな変化が起きるのか楽しみである。

事業概要

フォローアップセミナー
実施日
2010.5.19(水)
テーマ
金融と中小企業の発展の融合
参加者
同窓会会員、企業関係者計40名
重慶市ニーズ調査
実施日
2010.5.16(日)~18(火)
訪問先
  • 重慶市検査測定センター
  • 重慶市生産力促進センター
  • 重慶市科学技術委員会
  • 中電遠達環保工程有限公司
  • 邦橋公司
南寧市ニーズ調査
実施日
2010.5.21(金)
訪問先
  • 広西生産力促進センター
  • 中国-ASEAN博覧会秘書處
  • 広西銀鋼南益製造有限公司
  • 広西投資集団維科特(vector)生物
  • 技術有限公司
  • 南寧-ASEAN経済開発区 事務局
北京市ニーズ調査
実施日
2010.5.21(金)
訪問先
中華人民共和国科学技術部、JICA